でも、最近はそれも可愛いと思っちゃう。


シュンとした北本先輩に声をかける。

「そう言えば、連絡先聞いても良いですか?」

鞄をからスマホを取り出した。

今更ながらに、私たちはお互いの連絡先を知らない。


北本先輩は、どんなセンサーを持ってるのか知らないけれど、広い大学で私をピンポイントで探し出す。

連絡先を交換する機会がなかったのが不思議だけどね、


「も、もちろん。千尋ちゃんになら何でも教える。スリーサイズとかも」

嬉しそうに破顔して、ポケットからスマホを取り出した北本先輩。


「スリーサイズは要りませんけど」

と良いながら連絡先を交換する。


まずは一歩から始めようと思った。

連絡先を聞いて、少しずつ近付いていこうかなと。


「つれない千尋ちゃんも良い」

「変態ですか」

「千尋ちゃん限定だから」

「そんなのヤですよ」

「千尋ちゃん可愛い」

「脈略もなく、何を言うんですか」

「だって、可愛すぎるから」

惜しげもなくそんな風に言われると、顔が赤くなる。

だけど、北本先輩とのこんなやり取りも嫌いじゃない。



「千尋ちゃん、赤くなってる」

嬉しそうに言わないでください。


「う、煩いですよ」

「ヤベッ、マジで心臓鷲掴み」

ウッと北本先輩は自分の胸元を掴んだ。

何が、ヤバイんですか。


「・・・・・」

「千尋ちゃん好き好き病が発病した」

「・・・キモいです」

「そんなツンデレな君が好き」

「そんな北本先輩が怖いです」

そう言いながらも、頬が赤くなるのを止められなかった。

この人が好きだと思えた瞬間から、北本先輩の言葉に反応してしまう。


今まで、分からなかった北本先輩の伝わってくるから。

冗談めかして言っても、きちんと心を乗せてくれてる言葉。


あぁ・・・認めちゃうと、こんなにも知ることが出来るんだね。



「千尋ちゃん、絶対連絡するね。毎日連絡する」

私の手をギュッと握った北本先輩。

「用のある時だけにしてください」

素っ気なく返してしまうのは、まだ素直になりきれないから。


「じゃ、毎日用を作るよ」

嬉しそうに笑った北本先輩に、ほんのちょっぴりだけ嬉しいと思った。


多分、毎日、迷惑だと笑いながらもスマホを確認する私がいるんじゃないかと、そう感じた。