さて、彼女達はどこかな?
服を見に行くとして、涼香に合うような服って事は、カジュアルな感じだよな。
駅を出て、繁華街の方へと向かう。
休日とあって、人が多いな。
女の子達から黄色い悲鳴と、熱い視線が集まってくる。
あ~面倒だな。
前までは可愛いと思ってた視線も、面倒だと思えるなんて。
人って変わるよな、自分で笑ってしまう。
無意識に浮かんだ笑みに、周囲がざわめく。
声をかけようと近づいてくる女子のグループを振りきるように、足を早めた。
今の俺は、忙しいんだよ。
涼香と千尋ちゃんを早く見つけなくちゃね。
足早に繁華街に到着して通りを進む。
カップルやグループや親子連れが、通りには溢れてる。
俺は目を凝らしながら人混みを縫う。
どこに居るんだろうか?
千尋ちゃんの言ってたパンケーキ屋は分かってるから、最悪そこで待ち伏せだな。
彼女の驚く顔が楽しみだ。
涼香には、冷たい視線を向けられるかも知れないけど。
それは、我慢しよう。
多分、恋愛にリスクは必要だろうし。
それでも、彼女の瞳に俺を・・・俺だけを映したいと願ってしまう。
人混みを進みながら、繁華街の賑やかな通りを進む。
「どこにいるのかな? 俺のお姫様は」
そんな臭い台詞を吐きながら周囲を見渡す。
と、その時、聞きなれたら声が聞こえた。
「お兄ちゃん!」
オープンカフェから涙目でこちらへと飛び出してくる涼香。
その顔が必死な事と、千尋ちゃんの姿が見えない事に顔をしかめた。
彼女に何かあったのか?
「涼香、どうかしたの?」
珍しく俺に飛び付いてきた涼香を見下ろす。
「せ、先生を助けて」
俺を見上げた涼香は、今にも泣きそうに涙を湛えてる。
「千尋ちゃんがどうしたの?」
声に動揺が少し混じってしまったのは仕方ない。
「パンケーキ屋のオープルカフェにいたら、カッコいいお兄さんが急に来て、先生を連れてっちゃったの。パンケーキ屋さんで先生は涼香に待っててって」
「分かった。涼香はそのカフェで待ってな」
「涼香も行く」
「ダメだ。千尋ちゃんも待っててって言ったんだろ?」
「・・・うん」
「絶対に連れて戻ってくるから、いい子で待ってな」
涼香を安心させるようにニコッと微笑んで、涼香の頭をポンポンと撫でる。



