千尋ちゃん達は、俺たちの方には来る様子はない。どうやら少し手前の角を曲がるみたいだ。


「あ~向こうに行っちゃうのか?」

残念そうに言う慧。

本当、綺麗な子に目がないよな、こいつ。


「今の俺達じゃ、どのみち煙たがられるだけだろうな」

「確かに」

「いつも俺たちを見る目がゴミでも見てるみたいな感じだしね」

クククと笑う。


「紀伊ちゃんと付き合えるなら、俺、真人間になる」

よく分からない権限をするから、

「それは無理だろ」

と笑ってやる。


俺と一緒で、こいつも、一人に収まるようなたまじゃない。

初めはよくても、直ぐに浮気して振られるのが落ちだな。


「分かんないぜ。純愛しちゃうかも」

ヒヒヒッと笑った慧。

純愛ってなんだよ。


「純愛ねぇ。俺には無理だろうな」

鼻で笑った。

本当にこの時はそう思ってたんだ。

そんな俺が、大切すぎて触れられないとか、目が合うだけでドキドキしちゃうとか。

そんな日が来るなんて、俺本人にも分かるはず無かったんだ。





ーendー