同じ学校って、だけなら探せないよね。

北本先輩に正体がバレるとか、絶対にやだ。


いよいよ集団とすれ違いそうになり、私は俯いて小さくなった。


「でも、美少女なんて早々居ないよね、うちの学校に」

渋沢先輩の腕にしがみついてる女の子が言う。


「まぁなぁ。そんな子がいたら俺が見逃してない」

自信たっぷりな渋沢先輩。


「そうだよなぁ。だから、ちょっと気になってな」

気にならなくても良いです。

北本先輩は、どうぞ他の女の子達を気にしてあげてください。


「超美人は居るけどなぁ」

「慧君、あの子でしょ? 占いババの友達の子」

「おお、そう」

紀伊ちゃんの事だな。

確かに、紀伊ちゃんは美人さんだもんなぁ。


「あんな綺麗な子が、占いババみたいに冴えない子と一緒に居るなんて不思議よね」

「だよねぇ。私もそう思う」

煩いよ、女の子達。

紀伊ちゃんと私は仲良しさんなんだからね。

イラッとして顔を上げたら、なぜかこちらを見ていた北本先輩と目があって、慌ててうつ向いた。


不味い・・・不味いって。


足を早めてその場を立ち去った私は背中を見つめていた北本先輩の視線も、彼らのやり取りも知らなかった。







「先輩、何かあった?」

「ううん、何でもない」

「さっきすれ違った女の子見てたでしょ?」

「なになに? 女いたの?」

「ああ、すげぇ可愛い子だった」

「追いかけてみようぜ」

「いや、いい」

「どうしてだよ?」

「近いうちに会える気がする」

「なんだよ、ロックオンかよ」

「そんなんじゃないよ」

北本先輩と渋沢先輩に苦笑いして、小さくなっていく私の背中を振り返った。