乃愛が蘇った。


今まで冷たかった手はとても暖かく、そして柔らかくなっている。


乃愛は今朝まで一緒にいた乃愛と何も変わらなかった。


記憶も、クセも、可愛らしい笑顔も。


「本当に、戻って来てくれたんだな」


俺がそう言うと、乃愛は何度も頷いて「そうだよ。みんなのお蔭だよ」と、ほほ笑んだ。


その笑顔に心の底から暖かさを感じた。


乃愛の笑顔はいつだって俺を幸せにしてくれる。


ブロックに囲まれている炎は小さくなり、もうすぐ消えるだろう。


「儀式は成功した。まだ話をしたいところだけれど、帰りながら話そう」


創吾がそう言い、立ち上がった。


一夜明けて疲れたどっと出て来たのか、その目の下にはクマができていた。


早く帰って休みたいのだろう。


みんなも、それぞれ疲れた顔をしてる。


俺はみんなへ向けて頭を下げた。


「みんな、本当にありがとう。俺の我儘に付き合ってくれて、本当に感謝してる」


お蔭で、乃愛は蘇った。


香菜美がしようとしていたことさえ、今では許せるような気持ちだ。