手の施しようがなかった場合、患者の体を開いてもすぐに打ち切られるケースがあると言う。


乃愛の場合はどうなのか。


心臓がドクドクと高鳴っていた。


自然と腰が浮き、乃愛の両親の横に立つ。


静かにドアが開き、担当した医師が手術着を身につけた状態で出て来た。


誰も、何も言わなかった。


沈黙が重たくのしかかる。


乃愛の両親がいる手前、俺が口を開く事もできない。


そんな時間が流れた後、担当の医師が静かに、左右に首を振ったのだった……。