儀式が始まる前、広間の隅に置かれている簡易トイレから出て来ると、丁度創吾が隣のトイレに入る所だった。


あたしは思わず創吾を睨み付けていた。


それに気が付いた創吾が一旦足を止めて、こちらを見た。


「なんで儀式をしようなんて言ったの」


強い口調でそう聞くと、創吾は軽くため息を吐き出した。


「乃愛がかわいそうだ」


「うそつき! ただのオカルトマニアのくせに!」


あたしは創吾へ向けて吐きかけるようにそう言うと、大股に歩き出した。