蘇りのウタ

力を込めた刃がスッと横へ移動する。


傷ついた皮膚からジワリと血が滲み出て、それはすぐに流れおちて行った。


「やめてっ!」


菜摘が悲鳴を上げて幸弘から視線を外した。


その体は小刻みに震えてる。


幸弘は自分の血を透明な小瓶に集め始めた。


「少しでも多く、俺の血をためるから」


それはみんなに負担をかけないための選択だった。


それと同時に、みんなはここから逃れる術を失った。


幸弘がここまでしたのに、1人で逃げることなんてできない。


こんな状況でも、普段だから友人である関係は根強く存在している。


幸弘はそれを利用したのだ。


「そのくらいでいい。傷を塞げよ」


創吾に言われて幸弘はようやく傷口にタオルを押し当てた。


深く切ったのか、そのタオルにも血が滲んで赤く染まって行く。