「自分の体を切って血をためるなんて。普通の精神状態じゃできない」


和希の言葉に、菜摘が安堵したようなため息を漏らした。


「だけど、これをやらなきゃ始まらない」


創吾は困ったように眉を寄せている。


「男子はいいとしても、女子はどうするんだよ」


和希が強気で言い返す。


男子が傷を作るのと、女子が傷を作るのでは意味が違ってくる。


あたしたちは顔を見合わせた。


あまり大きな傷だと自分の将来まで変えてしまうかもしれないのだ。


その事に、今更ながらに気が付いた。


「儀式が成功した時はいいかもしれないけれど、もし失敗した時はどうする? 女子たちは傷を負っただけで終わるのか?」


「それは……」


和希の言葉に、創吾は何も言えなくなってしまった。


俯き、ジッとナイフを見つめている。