ふと目の前にある大きなドアを確認すると《手術中》と書かれている文字が光っている。


「手術……?」


そう呟くと、乃愛の両親がようやくこちらを向いた。


その目は真っ赤に充血していて、この間あった時よりも随分老けたように見えた。


乃愛の両親と視線がぶつかった俺はおずおずと会釈をした。


なにがどうなっているのかわからない。


どうして俺はここにいて、どうして乃愛の両親は泣いているんだ?


そう聞こうとした時だった。


足音が聞こえて来て視線を移動させると、友人たちの姿が見えた。


谷田真琴(ヤダニ マコト)、山崎菜摘(ヤマザキ ナツミ)、本山香菜美(ホンヤマ カナミ)。


それに、大鳥創吾(オオトリ ソウゴ)、大森和希(オオモリ カズキ)の5人だ。


全員、俺と乃愛の同級生だ。


「みんな、なんで……?」


俺はようやく立ち上がった。


「幸弘!」


香菜美が泣きだしてしまいそうな顔で駆け寄って来る。