「お前、俺たちが何をしているかわかってるのか? モタモタしてる時間なんてないんだぞ」


幸弘が言う。


その冷たい言葉にムッとしてしまう。


「わかってるから辛くなっちゃったんでしょ」


あたしがそう言っても幸弘は相手にしてくれない。


「このまま行けば店や民家はなくなって森に入る。最後に食料を買うために寄ってやるから、それまで我慢しろ」


それだけ言うと、幸弘は前を向いてしまったのだった。


あたしはこの空間で絶叫したくなる気持ちを必死で押し殺していたのだった。