カケルの背中を追いかけて森の中へと足を進める。


いつの間にか道は見えなくなり、カケルの姿も見失っていた。


きっと、カケルがこの森の事を熟知していることは事実だったんだろう。


じゃないと、森の中をこんなに簡単に逃げ切る事なんてできない。


「どこに行きやがった」


前を走っていた創吾が息を切らして立ち止まった。


道から離れた森の中は更に薄暗く、ジメジメとしていて気持ちが悪かった。


後ろからは乃愛をおんぶした幸弘がやってきた。


足元が悪くて乃愛は歩けなくなってしまったんだろう。


いつまでもお姫様扱いをされる乃愛に、苛立ちを感じる。


足を怪我したのが乃愛ではなくあたしなら、きっと幸弘は簡単にあたしを切り捨てたことだろう。


とっくの前に生贄になっていても不思議じゃない。