最初に菜摘の悲鳴が聞こえ、それからみんなの悲鳴が聞こえて来た。


「菜摘が……!」


出て行こうとする乃愛を止めて、俺は木の陰から様子を伺った。


骨人間が菜摘の肩に噛みついている。


菜摘は恐怖で顔を歪め、悲鳴を上げ続けている。


これでもイケニエという形になるだろうかと、一瞬不安になった。


真琴の時のような、明確な意思表示をしていない。


「幸弘、菜摘を助けないと!」


乃愛の言葉に俺は左右に首を振った。


「ごめん乃愛、それはできない」


「幸弘……」


「自分たちが森から出る事で精いっぱいだ。人のことまで気にしている暇はない」


冷たい言い方だとわかっていた。


だけど、そう言わないと乃愛は納得してくれないだろう。