「これが初めてじゃないってこと?」


あたしは愕然としながらそう聞いた。


「そうだ。だけど俺自身が巻き込まれたのはこれが初めてだ」


「本当に?」


菜摘がカケルへ疑いの目を向けている。


やっぱりカケルはなにもかも知っているんじゃないか。


あたしたち儀式を目撃したことで、この森の魂が蘇ってしまった事も、気が付いていたんじゃないか。


そんな気になってしまう。


「本当だ。信じてくれ」


カケルの言葉に、小屋の中に沈黙が下りた。


信じてくれと言われても、すぐには無理だろう。