「真琴、立てるか?」


創吾が真琴に手をかして立たせる。


まだ少しふらついているが、ゆっくりなら歩けるようだ。


「カケル。お前は森の事に詳しいんだよな?」


真琴を支えて歩きながら、創吾がそう言った。


「あ、あぁ。まぁ……」


「それなら、儀式の事を知ってるか?」


創吾の言葉にカケルは目を見開き、そして小さく頷いた。


やっぱり知っていたのか……。


森の中でバッタリ出合った俺たちの事を見て、カケルは何を思っただろう。


儀式をしに来た連中だとすぐに理解しただろうか?


それとも、儀式の様子を見ていたかもしれない。


「あの広間だけは俺たちも手を振れていない。あそこだけは立ち入らないようにしてる」


「それ、本当?」


香菜美がカケルへ疑いの目を向けてそう聞いた。