小さなその体をきつく抱きしめたい衝動にかられる。


俺は握り拳を作ってその感情をどうにか押し込めた。


「俺の、ためか?」


そう聞くと、乃愛は笑って「そうだね」と、頷いた。


「だけどそれだけじゃない。あたしが幸弘から離れたくないと思ったからだよ」


「乃愛……」


「そしたら、幸弘たちが儀式をしてくれることになって、あたしはこうしてまた戻ってくることができたの。本当にありがとうね」


乃愛は涙を浮かべてほほ笑んだ。


その笑顔に胸が貫かれる思いだった。


「俺ができることならなんでもする。俺が乃愛を守っていくから」


もう二度と、同じ失敗は繰り返さない。


俺は心にそう誓ったのだった。