「俺も一緒」


そう言うと、男は小屋の中からキノコの入った籠を取り出して見せた。


竹で編まれた籠には満帆のキノコが入っていて、俺は苦笑いを浮かべた。


「この森はほんとうにいいキノコが沢山取れるよね。俺、これで小遣い稼ぎしてんだ」


男は屈託のない笑顔でそう言った。


ここは田舎だから、こういう若者がいても不思議じゃないのかもしれない。


そう思いながら、振り向いて創吾を見た。


「どうする? 小屋で休ませてもらうか?」


「あぁ。そうしよう」


創吾はさっきから青ざめたままだ。


どうしても悪い考えを拭い取ることができないようだ。


ここで少し休憩すればきっと気分も変わるだろう。


そう思い、俺たちは男と一緒に小屋の中へと入って行ったのだった。