背は高くないがしっかりした体つきで、秋なのに日焼けをした肌だ。


俺たちはしばらくの間その男をジッと見つめる形になってしまった。


「えっと……君たちは誰?」


男の声にハッと我に返る。


「俺たちはその……」


説明をしようとしたけれど、すぐに言葉に詰まってしまった。


儀式の事は言わない方がいいけれど、こんな状況でなんと言い訳をすればいいか思いつかなかった。


「キノコ採り」


不意に香菜美がそう言った。


香菜美の視線は小屋の中に注がれている。


「え、君たちも?」


男の顔が少しだけ警戒を解いた。


「うん。そうだよ」


「こんなに朝早くから?」


「そ、その方が人が少ないと思ったから」


苦しい言い訳だと思ったが、男は首を傾げながらも「そうなんだ」と、頷いてくれた。