「お父さんの高校の時の同級生がね、ある会社の社長になっているんだ」



「……へえ」



「それで、昨日偶然会ってねー。
話をしたら、特別に自分の会社に入れてくれるって言ってくれたんだ」




……その社長さん。
そんな簡単に決めていいんかいっ‼

いや、あたし的には助かったんだけど……




「……まあ、それなら良かったじゃん」




軽くため息を付いて、あたしはまたメールを打ち始めた。


何だ……
心配して損したっ。




「それでね、蘭……」



「ん?

……あ!電話かかって来たっ。
ごめんお母さん、明日でいい?」



「え?ああ……」




今思えば……
この時ちゃんと、お母さんの話を聞いていれば良かったと後悔している。


だってこの時は考えもしてなかったから。
まさか、あんな事になるなんて。