抱え込みすぎる妹だから、心配だった。
でも、彼に預けておけば、全てが安心というように、妹は穏やかに微笑んだ。
彼に愛され、幸せそうに微笑んで……くっつき方は、些か、気に入らなかったが……まぁ、妹が幸せなら、良いかと思っていたところに。
『沙耶が相馬の仕事関係で拐われた。援護、頼む』
と、いう、とても、あっさりしたお達しが。
送り主は、沙耶の実父であり、俺の養い親である健斗さん。
相変わらず、娘が巻き込まれたときいても、焦らない彼は俺に拳銃を二丁渡し、
『生きて帰ってこいよー』
と、全く、心配していない風に言われた。
健斗さんは、できないことは頼まない。
その人間の丈に見合ったものを任せ、その者の本質を引き出すのが彼のやり方だから。
自分が医者を目指すようになったのも、麻衣子を本気で愛してしまったのも、今思えば、すべては健斗さんの一言からだった。
本質が全く見えない、何もかも完璧な人。
その人が、沙耶と相馬を引き合わせた。
生まれ持った顔と金と非道さで、
培った実力で、
地位を勝ち取った人。
俺らを育て上げた、その計り知れない人を理解し、愛され、愛せるのは、ユイラさんだけ。
重い、重い愛を受け止められるのは、ユイラさんだけ。


