本気で、中に入れば、こっちのもの。
そう、例え……
『ここか?』
例の取引先が来ようとも。
外で聞こえたその声に、行動が早すぎると舌打ちをしながらも、私は息を殺し、足音を殺して、柚香を探した。
「ふぁ、ふぁっ……」
ふと、聞こえた小さな声。
奥の方へ行ってみると、柚香は同じように手を縛られ、猿轡をつけられていた。
「チッ……」
持ってきた小刀で猿轡を外してやり、縄も切る。
「ありがとう……」
柚香がそういったと同時、扉の開く音がして。
(10……いや、20はいるか?)
足音や、声から把握するに、それぐらいいるんだろう。
そもそも、私たち以外に囚われた女の子はいないのだろうか?
ふと、そんな疑問が出たとき、
「キャーーッッ!!」
女の子の悲鳴が、聞こえた。
(いるんかい!)
情報が無かったせいで、そこまで準備してないのに!
……ああ、でも、この際、仕方がないか!
一人で頭を抱え、私は柚香に小刀を渡した。
「私が男達を引き寄せているうちに、女の子を解放してくれない?」
柚香は、しっかりとそれに頷く。


