☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3

□沙耶side■



父さんと別れたあと、黒橋所有のバイクをかっぱらい、それを使って父さんから送られてきた場所に行った。


「チッ、暗い……」


この時の私は、本当に柄が悪かったと思う。


昔から怒ると、どうしても、口調が変わってしまう私は、このとき変わっていたらしく、いろいろと大変だったと、後に聞くことになる。


そんなことになるとも知らない私は、銃を隠し持った状態で、倉庫B棟に躊躇いなく、近付いていった。


「―おいっ、誰だ!?」


響く、声。


チラつく、光。


やはり、父の言う通り、中岡組が彷徨いているらしい。


こっそりと逃げ、影に隠れる。


すると、薫や相馬とは比べ物にならないくらい醜い男たちが、姿を現した。


別に、そいつらを伸して、柚香を助けてもいい。


けど、そうなれば、こいつらの仲間がどれくらいなのか、計り知れない。


「あの女、どうなった?」


「まだ、俺らに気づいてないんじゃね?」


「若の命令なら、後で喰っていいってことだが」


「マジかよ、やりぃ!」


話している女が、柚香か、それとも、別の女か。


柚香ならば、こいつらの存在に気づいていないなんてことはあり得ないのだが。


まあ、彼らの話し方からすると、柚香は今、動けない状態なんだろう。


なら。


「あ、良かったぁ~人がいた~」


わざと、囚われてやろうじゃないか。