「11歳は有り得ませんよ……何したんですか……」
そう、流石に若すぎる。
すると、彼はさらりと、
「皆の前で技かけて、京さんを投げたくらいだよ」
と、言った。
「京さんに!?」
それは、誰もが驚かざる得ない。
「いやな、健斗さんに連れてかれて……そこで……」
「あの人に技を掛けるなんて……」
京さんを知っている人間は、誰もが青ざめた。
「笑われたよ。『俺の死んだあとは、全部、お前に任せた!』って。後は、顔と金の力じゃね?」
軽い。
結婚しても、彼の軽さは変わらない。
「……と、まぁ、ちょっとした世間話はこれぐらいにしといて」
彼は白衣を近くの机に置くと、鞄から取り出した服を羽織った。
「女はここに残っておけよ。あぶねぇから。あ、相馬と千歳は来いよ。定員は、五名。あと、三名は話あえー」
銃弾の残りを確認する、勇真さん。
本当、こんな人に育てられたら、誰だって沙耶みたいになるだろう。
こんなにもハチャメチャで、明るく、笑う人間。
彼に人望があるわけが、なんとなくわかった気がした。


