「―おい、静かにしろ。見つかると、迷惑だぞ」
『すいません……』
「まぁ、これから行くから続けて、張り込みを頼む。大したことがない限り、中には入らなくていい。俺の妹が来ても、知らない振りをしろ」
『わかりました』
「近々、顔を出すから。ちゃんと、気ぃ張れよ?」
『はい!』
電話相手との通話が終了し、勇真さんが電話を切る。
俺たちは、ただ、愕然とするしかなく。
「……ってなわけで、沙耶も柚香は心配ない。あそこに揃ってんのは、幹部たちだしな」
平然とそういう彼は、何者か。
「え、お兄さん、何者……?」
俺が思ったことを、桜が訊ねる。
すると、勇真さんは
「三十路のおっさんに、『お兄さん』か……いい子だね、流石、初代キングの娘だ」
そう言って、にっこり笑う。


