「沙耶も同じように教えられてきたからなー。つか、あいつ、一人で柚香を助けに行ったんだろ?良いのか?この時期のこの時間、あの場所に行くのは恐らく、中岡組だぞ」
中岡組というのは、焔棠組と同じく、極道のひとつだ。
焔棠とは実力とか、歴史とかで大きな差があるが、何よりも暴力的で、犯罪を犯しまくっている。
最近も目立った行動が多いので、そろそろ、御園の裏で処分を下さねばならないと思っていたところだった。
「そこに柚香が囚われているんなら、十中八九、そいつらが使われている可能性が高いな……いや、それか、わざと、その場に放置という手もある。どっちにしろ、ヤバイな!」
爽快な笑顔でそういう勇真さんは、本当に妹が大事なのか、疑いたくなる。
「前の沙耶だったら、大丈夫だろうが……あ、相馬、双子は別の部屋で和貴という男といるぞ。夜遅いからな、双子は眠ってる」
話の飛び方がおかしい!
双子も大事だが、沙耶の方がもっと大事だ。
千歳も同じことを思っているのか、俺の背後に立った。
そんな俺らは同じ顔をしていたんだろう。
俺らを見て、勇真さんは笑った。


