「……」
「……おい、そこで無言になるなよ。俺にだって、嫌いなものくらいあるぞ」
「いや、そこじゃなくて……」
「喧嘩するほど、仲が良いって方か?だって、その通りじゃないか。嫌いな人間とわざわざ、喧嘩するか?……しねーだろ」
白衣を脱ぎ、彼は背伸びする。
「仕事終わりに電話がかかってきて、何事かと思ったけど……何だ、誘拐か。なら、大したことねーな」
白衣をはたき、きれいに折り畳む。
はたいた衝撃で、中ポケットから何かが落ちてくる。
「お、わりぃ」
傍にいた桜がそれを手に取り、固まった。
そして、
「銃刀法違反!」
と、叫ぶ。
そう、落ちてきたものというのは、タバコと拳銃。


