「―お、相馬、見っけ」
現れたのは、
「健斗さんに言われて、来たんだが……」
白衣を着た、見慣れた男性。
「勇真さん!?」
沙耶の、義兄であった。
「久しぶりだなー、相馬!沙耶と喧嘩してんだって?うまくいっているようで、何よりだよ」
喧嘩しているときいているくせに、それがうまくいっているというのはどういう考え方なのか。
「いや、喧嘩しているんですけど……」
「喧嘩するほど、仲が良いと言うだろう?俺なんて、麻衣子と一週間に一回は必ず、喧嘩するよ。あいつ、しつこくてさ。俺が謝らない限り、絶対に口を利いてくれないの。晩飯なんて、俺の大嫌いなパクチーやグリーンピースだらけにしやがる。妻ってのは、最強だよなー」
麻衣子というのは、彼の愛妻である。
彼は麻衣子さんとの間に、二人の子供をもうけている。


