「拳銃!?沙耶、そんなもんまで、扱えんの!?どんだけ、ハイスペック人間だよ!」
桜の渾身な突っ込みに、俺は苦笑いを返す。
「沙耶は、なんでもできるよ。一人で生きていけるくらい、何でもできすぎるんだ」
だから、甘えることを知らない。
「ともかく、沙耶に無理はさせられない。身体のこともあるしな」
その場の全員が、うなずく。
「……相馬、沙耶の身体のことで慌てなくなったね?どんな心境の変化?」
動き始めたみんなのなかで、夏翠が笑いながら、聞いてきた。
「変化とかじゃねぇよ。ただ……気にするだけ、負けな気がするんだよ」
「フフッ、沙耶に対しては、それが正解でしょうね」
沙耶の扱い方とかじゃない。
沙耶は沙耶なりの生き方があるんだ。
俺は沙耶のすべてに惚れ、沙耶を愛してる。
そう言えるんだから、その事実を見間違えないように、この先も共に生きたいと思う。
みんなが動くなかで、辺りを見回す。
「そうだ、夏翠。双子たちは……」
―ガチャリ。
夏翠を振り返ったとき、勝手に開いた扉。


