「そうか。でも……」 「場所は、港沿いの倉庫B棟だ。沙耶はそこに向かった」 「えっ、沙耶に逢ったの……?」 どうやら、俺らが喧嘩している(喧嘩と呼んでいいのか、わからない)ことは、みんな知っているらしい。 「いや……逢ってはない。けど、父親に会いに行ったあと、獲物を持って出ていったらしいから」 「獲物?」 これは、法に触れないためのひとつの暗号。 「拳銃だよ」 そう、沙耶は獲物を引くことに、何の躊躇いもない。 だって、そうやって、育てられてきたのだから。