☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「その事については、ちゃんと謝っただろ?」


「謝っても許されることじゃないと……」


唇を尖らせ、そっぽを向くユイラ。


そんなユイラの頭を引き寄せ、愛妻の唇にキスを落とす。


「……会社やけん、手加減せんといかんのが残念や」


「……次やったら、零に仕事を増やしてもらうわよ」


「……すいません」


数十年前、結婚するときに感じていたことが現実となり、ユイラはうまく僕を操る。


「こういうところは、似なくて良かったと思ってる」


そして、ハッキリとした、この物言い。


「……ユイラ、もう少し、優しくしてくれても……」


「優しくするのは、妻の時!今は、仕事!つまり、私の役目は秘書!さ、仕事!!」


メリハリのついた、仕事モード。


(ここだけは、本当に教育を間違えたな……)


今更だが、ほんの少しばかり、後悔している。


「仕事中は、標準語!分かった?」


「分かってます。その前に、柚香のことについて沙耶に送らないと……」


柚香は、親無し子といえる子供だった。


常に薄着で、痩せ細っている子供。


初めて見たとき、ユイラを思い起こさせた。