☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3

■健斗side□





「……本当、僕に似とるな」


沙耶が出ていった扉を見て、僕はそう呟く。


「そうね。健斗に似るということは、困っている人にてを差し伸べられる子ってことじゃない?私、そういうのは良いと思う。……実際に、そんな優しい健斗に救われたしね」


「……でも、君、初めて、僕のことを見たとき、変なことを考えてなかったか?」


「そりゃ、真冬に黒いワンピースを着たボロボロな姿の少女に手を差し伸べる人がいるのよ?自分の存在は無意味だと、組み敷かれるしかないんだと教えられてきたし、あの時は、死ぬことしか考えてなかったもの」


忘れもしない、29年前。


「あん時は、大変やったなー」


「……健斗、私に黙って、私を傷つけてきた人間を闇に葬り去ったらしいものね?」


「……」


言葉の圧力とは、こういうものだろうか?


ひしひしと伝わってくる、愛妻の怒り。


「しゃーないやん。僕も若かった証拠や」


「別に、私に黙っていたから怒っているんじゃないわ。危ないじゃない。私に心配をさせるような、危険なことをしたから、怒ってるの」


中々、ユイラも酷いと思う。


まぁ、僕の教育の賜物なんやけど。