☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「沙耶、獲物を使うのなら、あれはちゃんとしとかんとな?」


"あれ"と言うのは、父さんから昔、教えられたものである。


「分かってるわ。……まさか、使う時が来るとは思ってなかったけどね」


教えてもらった時は、使う時があってたまるものかと思っていたが、なるほど、実際にその時になってみれば、使うものである。


「じゃあ、無理しないように頑張るわ。弾、全部なくなったら、許してね」


「……それ、一日中、乱闘しても、余るくらいあるんやけど」


「身の危険を感じたら、適当に使うから~柚香がいるとこ、携帯に送ってて。そして、そこに弾、持ってきてくれない?」


「……僕と同じ性格をしとる君に、何言っても無駄やな。後で、零に届けさせる」


「ありがとー」


「帰ってきたら、ちゃんと、顔を見せに来いよ?」


「そうよ、ちゃんと顔を見せに来てね」


「はーい」


心配されているのはわかってる。


でも、こんなところでしおらしくして、この怒りを抑えたくない。


だからこそ、旅立ちは笑顔で。


「いってきます」