「――もしもし、父さん?ええ、沙耶よ」
我が父は多忙と言えば、多忙の人である。
でも、仕事量が殺人的でも、片付けるスピードは神的に早く、的確である。
おまけに人望もあり、何て言うか、超人な父だ。
「柚香が拐われた。助けに行くわ。だから、柚香の場所を見つけ出して。……五分?やけに早いのね……ああ、そっか。父さんの周囲の人間がいるものね?」
最強で固められた布陣の王に君臨する父は、無敵な愛妻家で。
「獲物、手配できる?二丁ぐらいで良いわ。え?私が使うのよ。当たり前じゃない」
娘の無茶ぶりとかにも、ちゃんと、答える。
「怪我しても、柚香を助けられるなら、話は別よ。御園、姫宮、千羽、楪、神宮寺が動いているらしいから、そちらの指揮官にも話をつけて貰える?……ええ、そうよ。よろしくね」
と、いうか、こういうお遊戯は、父さんの大好物で。
遠慮なく、敵を狩れるのが良いらしい。
私には、よく分からない。
が、父さんが出てくると、いろいろと面倒なので、今回、父さんは不参加と言うことにしてもらおう。


