「和貴、夏翠を呼んできて」
「は……」
「そして、私の携帯、ある?」
「こちらに」
「ありがと。ちょっと、父さんのところへ行くわ。電話してるから、呼んできて貰える?」
「わかりました」
私がこれから何をするのか、若干、気づいているだろう和貴は不安そうな、物言いたそうな目でこちらを見ながら、スマホを差し出してきた。
だから、私は安心させるため、彼に微笑む。
「大丈夫よ。無茶はしないから」
私の言葉に信用性がないと言われているのは知っている。
それでも、私は微笑む。
任せておいて、巻き込んだのに……放っておける、はずがない。
何よりも大切な、友人こと。


