☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3

□沙耶side■




「……柚香は?」


私の声が、響く。


広い部屋の中、帰ってきた双子を抱いて。


「柚香様は、どこかに用事があると仰有って……別れたきり……」


「行方不明、と?」


感情がささくれたつ。


怒りとか、申し訳なさとかが、溢れだす。


「……居場所は」


「現在、御園、姫宮、千羽、楪、神宮寺があぶり出しております」


「まだ、時間はかかりそうなの?」


「なんとも言えません。しかし、見つけ次第、出来る限りの警備隊を総動員させるそうです」


「……」


見つけ次第。


それは、つまり、柚香の身の危険を示す。


恐らく、柚香が拐われたのは、私の代わりだ。


そして、その柚香を助け出すため、本来は私が動かなければならないのに、夏翠たちが動いてる。


「沙耶さまは大人しくなさいませ。折角、直樹さまが……」


私が、治りきれない病の一つ。

ストレスのせいで起こる、発作。

先程もそれが起こり、主治医である夏翠のお父さん、直樹さんに止めてもらった。


「……双子が戻ってきたから、発作はもう、起こさないわよ。双子が無事なら、こちらも動きようがあるし」


人質が、柚香だけ。


それだけでも、やれることは増える。