……てな感じで、双子を預けて別れたあとに後ろから殴られたんだ!思い出した!!


(……でも、まてよ?)


私を誘拐して、犯人にはなんの利益があると言うのか。


確かに、千羽家三男の嫁である私は、身代金目的ならば、誘拐する価値はあるけれど……脅迫材料とかにしては、弱い。


そんなんだったら、沙耶を拐った方が……あ、なるほど。


とりあえず、自分の身の置き場を理解しようと考えている内に、ひとつのある答えに辿り着く。


(私は、沙耶に間違えられたのか!)


沙耶は髪が長くて、私は短いのに。


ここまで分かりやすいのに、間違えたったことは……十中八九、沙耶の情報が掴めなくて、たまたま、本家から出てきた私が相馬の妻だとでも思ったのだろう。


だが、残念。


相馬は、私の好みではない。


(やっぱ、千歳なんだよなー)


揺らぐことのない想いに苦笑してしまうが、本当、彼じゃないとダメとか、そういうのってあるものである。


もしかしたら、この状況、慌てるのが正解なのであろう。


だが、ぶっちゃけ、沙耶と親友なんてやってきたせいで、こういうことにはそこまで驚かない。