☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




「私の家、偉い人がいっぱい!」


「沙來はね、あの物語が好きなんだ~」


この闇が絶えない家の中で、夢を見る。


「―憂霞!ここにいるのか?」


憂霞と呼ばれた双子の母親は、ゆっくりと顔をあげて。


「あ、お母さん!お父さんだ!」


「おかえり~!お父さん!!」


「うわっ、紫霞、沙來、吃驚した……」


双子と、愛しい人の姿を見た。


「ねぇねぇ、お父さん、沙耶さまって知ってる?」


「沙耶さま?沙耶さまって……お祖父様のお祖母様だろ?」


「そうそう。話したら、気に入っちゃったみたいで」


「だいぶ、変わり者だったって話だぞ?じいさんによれば」


「彬さんはあったことがあるの?」


彬さんは、沙耶さんのお孫さんで。


「あるある。何せ、孫だし。孫どころか、玄子まで見て、亡くなられた方だぞ?その玄子が、俺なんだが」


「あら、そうだったの」


「俺の名前も、沙耶さまがつけてくださったそうだ。俺が一歳の時に亡くなったから、俺は覚えてないけどな」


「貴方の素敵な名前、沙耶さまがつけたのね」


「ああ。そうだぞ?だから、紫霞たちも曽祖父母につけてもらったんだ」


「なるほど」


二人の娘である紫霞と沙來の名付け親は、双子の高祖父母にあたる、沙耶さまの息子夫婦だ。


第322代目、総帥でもある。