享年85で生涯を終えるまで、
御園の中を支配し続けた御園沙耶は、
死後、その生涯を称えられることとなる。
そして、そんな彼女を愛した、
御園を一撃に成長された稀代の総帥は、
享年、89でこの世を去る。
夫婦で、玄子まで見守った夫婦。
その生涯は、≪御園史≫に、描かれていて。
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「―ねぇねぇ、お母さん!この人が、私のおばあさま?」
「フフッ、違うわ。紫霞、沙來。沙耶さまは、貴女達の高祖父様のお母様。つまり、五代の祖よ」
「「五代の祖?」」
「そう。貴女達のお父さんのお父さんのお父さんのお父さんのお母様が、沙耶さまよ」
「ややこしいね」
「難しい……」
「あら、そう?でも、お母様は好きよ。沙耶さま、とても素敵な人生を歩んでおられるから」
双子の母親である、一人の女性は本を手に。
「今日の夜は、沙耶さまのお話をしよっか?」
双子に笑いかけた。
「「うん!」」
生きぴったりな双子は、書庫の天井を見上げて。


