「そっか」
私は顔を埋めたまま、頷く。
「力がある方がいいか?」
「ううん、別に」
あなたと生きられるのなら……。
「……相馬が一緒なら、どこでも……地獄でも良い」
上向いて、微笑む。
すると、優しくキスを落とされて。
「ありがとう」
腰を引き寄せられ、気がつけば、逃げられなくて。
「ちょっ……みんな、いるから」
「今更?」
そうかもしれないけど。
一応、申し訳ないじゃん?
「なんの問題もないよ。みんな、いないから」
そう言われて、見渡せば。
みんな、バラバラに過ごしてて。
「な?だから……ほら」
身を屈められて、端正な顔が近づく。
「ほ、ほらって……」
私は、軽く背伸びした。
そして、触れるだけのキスをする。
すると、優しい笑顔が見えて。
(ヤバイなぁ……)
この人の愛は心地良くて、私はふわふわした気持ちにさせる。
彼に抱かれていようと、子供を産んでいようと、結婚はしていないのに。
沙耶は、幸せのため息をつく。


