私は真っ正面から抱きついて、彼をギューッと、抱き締めた。
「……暖かい」
「……」
生きている証。
私は、生きている。
「………………儀式をするなら、メディアもだぞ」
「ん」
「もう、逃げられない」
「ん」
「いや、逃がさないが、正しいか?」
「フフッ、そうね」
人を愛すことは、自然の摂理。
一度、音を立てれば、それは加速して止まらない。
「俺と共に、闇で生きれるか?」
沢山の人間が壊された、あの魔窟で。
私は、彼の胸に顔を埋めた。
「貴方が、私を守ってくれるなら」
「守るよ。今の世だけだが、この力も使って」
「……今の世?」
「来世では、無くなるだろうからな」
「…………そうなの?」
ずっと、受け継がれるものだと思ってた。
だって、魂で継承されていくんだと思っていたから。
「お前を守るためだけの力だぞ?人間として生きる今、人外の能力は必要ない」
子供には、継承され無いだろうけど。


