☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



―貴女は、幸せでしたか?



訊ねることが出来なかった言葉だけど、今なら、判る。



夕蘭は、幸せだった。


「……もう、二度と離せねぇからな」


「ん」


「どこに逃げたって、すぐに捕まえる」


「逃げないよ」


「どうだか」


相馬は、笑う。


「もしかして、前世のことを言ってる?あれは、仕方がなくてね……」


「いや、やっと……」


「……ん?」


「御園相馬として、やっと、見つけたんだ」


「…………ん」


彼らは、言った。


前世で自分達が突き放したから、酷いことをしたから、巫女の数人は“呪い”をもって生まれたんだって。


でもね、思うんだ。


あなたたち守護聖が、与えた傷が“呪い”なら、


私たちが、あなたたちに与えた傷は何になりますか?


幾千年の時を、私たちに注いでくれたあなたたちを、私たちは恨めない。


だって、そんな気がおかしくなるほどの時を生きて、私たちを永遠に、一途に愛してくれて、私たちのもとにきてくれた。


そして、なお、私たちに愛を誓ってくれる愛した人を、私たちは責められない。


責める、資格もないと思うから。


だから、誰も口にしないんだ。


お互いに、罪を犯しているから。