「―生まれてきて、良かったと思えるよ。色々なことがあったけど……今、とても幸せだから」 そう思わなければ、失礼な気もするし。 私を精一杯、愛してくれた人たちへの恩返しは、私が幸せになることだと、気づいたんだ。 私を一途に愛してくれる、旦那様のお陰で。 「そうか……」 私の一言に、彼は頬を緩める。 それが、とてもかわいくて。 「ねぇ、相馬」 私は、服の肩らへんを引っ張った。 「なんだ?」 彼は、軽く体を屈めてきて。 私は、そんな彼の耳元で、囁く。 「愛しているわ」 ……その一言を。