甲斐が音を奏で始めると、それに乗っかって、相模が歌を歌う。
「綺麗な声……」
男の人の声とは、思えないレベルだ。
「神の声だからな。何だっけ、“仙界の調べ”」
横に来た相馬は、そんなことを呟く。
「……ねぇ、もしかしなくてもさ、子供たち、寝かせるためにやってたでしょ。これ」
「じゃなきゃ、大人が持たねぇだろ」
「まぁ、良いけどね……あんたは、なにもしてないと思うんだけど」
「した。ベットを作った」
「子供たちの面倒を、って、話なんだけど」
相変わらずな夫を横目で見て、私は苦笑。
「……ねぇ、」
「ん?」
「さっきのことなんだけど」
「……ああ」
私の言葉で気づいた、相馬。
私は少し、彼に寄りかかり、口を開いた。


