☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




「さて、何の子守唄が良い?」


「知るか」


どうやら、甲斐が演奏するらしい。


「知るかって……投げ出さないでよ。普段でも、相馬のせいで疲れているんだから。お前、仕事入れすぎだし。振り回されるこっちの身にも……」


「だぁー!分かった!うるせぇ!」


「うるさいのは、相馬でしょ。どうしよっか、兄さん」


それだけ、使われたんだろうか。


いつもより、甲斐の言葉に棘がある……。


「月の国のは?」


「闇璃?」


ふと、闇璃がそう言った。


闇璃は、小さな声で。


「玉華姫の、歌っていた……」


と、言った。


「玉華姫……月姫の母親……」


「俺らは会ったことねぇよな」


「まぁ、仕方ないけどね。月から、炎の国は離れているし……じゃあ、“月桜”?」


月の国の子守唄は、“月桜”というのか。