「幸せも、悲しみも、量が決まっているんだね。私は、幸福者だよ。本当に……あんたがいて、悠哉と茅耶がいて、友達もいて、家族もいて。幸せじゃないはずがない」
恵まれている。
この立ち位置で、私ができることはなんだろう。
「私、頑張るからね」
「……」
「あんたの妻として、死ぬまで、胸張って生きられるように」
与えられたものを、返したい。
例え、等しくはなくても。
貴方が与えてくれたものを、私はみんなに与えたい。
貴方に、返したい。
「「パパー!ママー!」」
遠くから、愛し子たちが呼ぶ。
私はそれを見て、頬を緩めた。
「私ね……ううん、夕蘭はね、」
リンクする。
重なりあう記憶で、“キミ”が望んだこと。
「草志と、こんな風に生きたかったんだと思う」
「……」
「何気無い、毎日で良いから……ゆっくり、例え、流れる時間が等しくなくても。死ぬまで、傍にいたかったんだよ。こうやって、何気ない会話で笑いあって、喧嘩して、触れ合って。“当たり前”の幸せが欲しかったんだよ」
叶わなかった、尊き夢。
それは、この現し世で。


