「真耶、こっち向いて」 俯いていると、顎を持ち上げられました。 私より10センチ以上も身長の高い夏渡は身を屈めて、 「…………俺がするから、お前はダメ。良い?」 ……初めて、私にキスをしてくれました。 「……」 「返事は?」 「……」 私は頷くことすら、出来ませんでした。 だって、嬉しかったから。 「おーい、真耶?」 私は、彼の瞳が好きです。 優しくて、とても、綺麗だから。 安心するんです。 この人は、裏切らないって。 私は、彼に抱きつきました。