☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




「お前なぁ……」


キスする度、告白する度に、夏渡はため息をつきます。


そして、言うんです。


「毎回言うけど、女がするもんじゃない」


……この台詞を。


「どうして?だって、してくれないじゃない」


「いや、そういう雰囲気じゃなかったろ?それに、婚約は……」


「破棄した方がいいのなら、破棄するよ。夏渡のことは好きだけど、私の気持ちの押し付けで苦しめたくないし。私が御園の娘ってことで、扱いにも困るでしょうし」


自分の立場はわかってます。


わかっていても、気持ちの加速は止められないもので。


私は、夏渡以外とキスをしたことがありません。


「あー、違う、違う。そうじゃなくてな?」


彼は優しいから、幼かった私のわがままを聞いてくれているだけ。


そう、自分に言い聞かせてきた。


「真耶」


それでも、悲しいものは悲しいです。


好きなものは、好きなんだから。


「まーや」


「……」


名前を呼ばれるけど、私は無視しました。


柄にもなく、泣きそうだから。