☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




「夏渡!」


「真耶」


庭に出ると、夏渡が木を見上げていました。


私は彼の名前を呼び、彼に駆け寄りました。


「何してるの?」


「いや、相変わらず、ここの庭は綺麗だなと思ってな」


「金をかけているだけあるよね」


「現実問題、ぶちこむなよ」


私は、現実主義者です。


現実にないことは、夢に見ません。


「そんなことより、伊織さん、帰ってきたんだな」


「うん。変わってなかった……いや、綺麗になってたよ」


「そうか」


「兄さん、避けるんだよね。伊織さんのこと」


「……何を話したら良いのか、わからないんじゃないのか?」


夏渡は、とても優しいです。


誰のことも非難しないし、私の悪いところも、昔から指摘してくれました。


「わからないって……何で?」


「男には、色々とあるんだよ」


「へー……」


色々って、何でしょう。


気持ちを伝えることに、何かあるんでしょうか。