「綺麗ね、どうしたの?これ」
気づいた母さんが、伊織さんに尋ねました。
因みに、私の産み母である、目の前にいる彼女は48歳という若さです。
すでに、29歳の子供がいるのに。
「あ、こ、これは……」
言葉を濁す辺り、やはり、何かありそうです。
おまけに、お母さんを含め、それに気づいた模様です。
「誰かに……貰ったの?」
その言葉に、伊織さんは頷きました。
「ええ!?誰に!?」
……私はそんな声を背後に、部屋を出ます。
すると、廊下で、悠哉兄さんと会いました。
「伊織さん、来てるよ」
「……知ってる」
「会わないの?」
私の言葉に、兄は自嘲しました。
「会えるわけ、ないだろ?」と。
阿呆ですかね。
狂おしいほど愛しているならば、伝えれば良いのに。
冬馬兄さんを含め、我が兄達は意気地無しです。


