☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3





「……何?真耶」


「ううん、何でもないわ。お母さんは?」


「さっき、母さんを訪ねてきた客がいてね。そこの対応に」


「あら、母さんへのお客様だったの?」


「みたいだね」


ニコリとも、しない。


演技でも、笑っていた兄は笑わなくなりました。


でも、理由はわかっています。


「……兄さん、仕事は?」


「やることない。終わっちゃったから」


「…………昔みたいに、なにか作らないの?」


暇なときは、料理やお菓子を作ってた兄さん。


手先が器用な兄さんはなんでもできて、とても、美味しいものを作り上げていた。


でも、もう、作っていなかった。


それこそ、5年前から。